最後の楽園 - 2008年04月02日


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since2009,2,23(2009,11,20移転)






§ glorious(FE烈火/ジャファニノ版)

glorious

ジャファルは、よろよろと覚束ない足取りで歩いていた。

濡れた重い身体を引きずり、何処か身を落ち着ける場所を探していた。

その時、彼は、道端に何か白い生き物が蹲っているのを発見した。
ジャファルは、そっと近づいてみた。

近くで見ると、それは小さな純白の可愛らしい雌猫だった。
ジャファルは、その猫に寄り添ってしゃがみ込んだ。
そして何故か、小さく震えている猫を少しでも雨から護ってやろうと思った。

ジャファルの黒い毛皮は、雨に濡れて冷たくなっていたが、
猫の方は、それよりもっと、まるで氷のように冷えていた。

「ありがとう…。」
猫がおもむろに口を開いた。

「すごくあったかいよ。」
猫は、俯いていた顔をジャファルの方に向け、少し微笑んだ。

猫には、冷たいジャファルの毛皮さえ暖かく感じた。

「あたしはニノ…。あなたは…?」
ニノは、ジャファルを見ながら、尋ねる。

「…俺はジャファル。」
ジャファルがそう答えると、

「…ねぇ、ジャファルお願いがあるの…。」
ニノは、その大きな蒼い瞳でジャファルを見つめる。

「…?」
「このままあたしの傍に居て欲しい…。」
ニノの瞳が不安そうに陰っている。
彼女は、衰弱しきっていて、自分がもう長くないことも分かっていた。

「ああ…。」
ジャファルは、頷いた。
彼もまた、限界が近づいている。

だから、誰かの傍に寄り添っていたかった。

二匹は、身体を寄せ合い暖めあっていた。
二匹で寄り添っていると、さっきまであんなに冷たく感じた雨も、少しだけ暖かくなったような気がした。

夕闇が近づいて来た頃、少し遠くから人間の足音が聞こえてきた。

頭を上げるのも億劫な二匹は、ずっと蹲ったままで居続けた。
不意に足音が止まった。

ジャファルが頭をほんの少しもたげてみると、それは小さな少女だった。
まだ、10歳にはならないだろう。

少女は、ニノの方に手を伸ばし、彼女を抱き上げた。

そして、腕の中で震えているニノを見つめながら、
「寒いんだね、猫ちゃん。あたしの家に来れば、あったかいよ。」
そして、そのままニノを連れていってしまった。

ニノは、抵抗する力もなく、おとなしくしていた。

夕闇の中、ジャファルは、独りぼっちだった。

雨は、降り続き、ジャファルの身体をどんどん冷やしていく。

(一人で死ぬのか…。)
ジャファルは、死ぬことについて考えていた。

彼は、死ぬことを恐れたことはない。
けれども、いざそれを瞳の前にすると、得体の知れない不安に苛まれた。

そして、思った。
(やはり、俺も生き物であるということか…。だから、生きていたいと思うのか…。)

暗くなってから再び、人間の足音が聞こえてきた。

それは、昼間見た少女だった。

少女は、俯いて泣いているようだった。
腕の中のニノに視線を落とし、彼女の背中を撫でている。
「飼っちゃ駄目だって…。ごめんね、猫ちゃん…。」

そして、ニノをそっとジャファルの傍らに降ろした。
すると、彼女は、近くで待っていた母親の元に掛けていった。

「ニノ…。」
ジャファルが呼び掛けると、ニノは、僅かに反応した。

「ジャファル…。」

ニノは、暗く果てしない夜空を見上げた。

その日は、星の見えない夜だった。

でも、たとえ自分達に見えなくても、
やはり空には、数えきれない程の星があって、自分達を見守ってくれているのだ。
そう思うと心が落ち着き、安心する。

あの世界ではみんな平等で、誰か一人が幸せだったり、
誰か一人が不幸だったりしないんだろうな…。

ニノは、見えない星を想いながら、考えに耽った。

「ねぇ、ジャファル…あたし達生まれ変わったら、幸せになれるよね…?」
ニノは、相変わらず、空を見上げながら、ジャファルに尋ねる。

「ああ…。」
「良かった…。」
ニノは、そう言うと、静かに瞳を閉じた。

生まれ変わった自分を想い描きながら…幸せそうな表情をしていた。

「大丈夫だ、ニノ…。俺達は必ず、幸せになれる…。」
ジャファルは、自分とニノのため、見えない幾千幾万の星達に祈りを捧げた。

今不幸なのは、何時かの日か生まれ変わった時、幸せになるため…。
そう信じたかったから…。

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2008/04/02 10:44:17  一般ゲーム(ポケモン・FE多め)/コメする:0/トラバする:0/ TOP
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